「怒られちゃったねー」 ガサガサお菓子の袋を開けながら余り反省していない口調で舞は砂糖を固めてコーティングされた動物ビスケットをパリパリ食べ始めた。私は少し離れた場所で「あの店長、滅多に怒らないんだけどね。山下さんも社員ぽくなくてさ、しょっちゅう客の愚痴言っちゃって、ダメダメな店だよ」と、煙草の煙りを吐き出す。まっずい!まっずい!私の話しは右から左に流された様で動物クッキーを夢中で食べている舞に、「あのさ、まっずい!とか言って毎日お菓子食べてんの?」1週間仕事を休んでいたから舞の、お菓子事情が分からない。「食べてるよ?」「まっずい!とか言っちゃってほんとは旨いんでしょ?」ちょっと意地悪っぽく言う。多分、お菓子が食べたくて仕方ないのだけれど恥ずかしいから何かしら理由付けして考えついた答えが、まっずい!なのだと思う。私には分かる。私も食べたくて仕方ないから誰にも見られない様に早く喰らい付いたり、誰かが居る時は、女の子らしく食べたり、家では、お菓子を隠れ食いをするから。「そ、そんなことないよぉ」図星だな。舞、過食兼お菓子同盟に入らない?今の所、私1人だけれど。舞こそ痩せているのだから太りましょうよ。品出しをしながら、お菓子を物色しているの知っているよ。「あたしも食べよー」チョコチップクッキーの袋を開け、食べ始める。口の中がチョコの甘さで満たされ、幸せいっぱいな気持ちになる。「美味しいねー」「うん」ほら、本音が出た。