メイクかぁ。いいなメイク出来て。私の親はメイクをする事も許さない。だから眉毛だけを整えている程度。細眉でツリ眉で、まるでヤンキーみたいな眉毛。メイクが出来ない変わりに、眉毛に情熱を注いでいる。
そんな事を考えていたら、
「美夢」
義則が呼ぶ。
待ってましたとばかりに私の身体を引き寄せる。
「何?」
キスをして来た。人の家で何をしているのだコイツは。執拗に抱き締めて頬や首筋にもキスして来る。
「やめて」
「眞奈居ないからいいじゃん」
良くない。人の、眞奈の家で、こんな事したくない。
抵抗していたら丁度良く、お風呂のドアが開く音がして、私達は、咄嗟に身体を離した。私は何事も無かった様に2本目のビールを開けた。動揺を隠す様に義則に背を向けて、グビグビ息が続くまで呑んだ。
「お待たせ~」
眞奈は、スッキリした~と言いながら化粧水を付けている。
「眞奈眠くなっちゃたよ。もぅ寝ない?」
「そうだね。来たの遅かったし、もう2時過ぎてるしね」
「眞奈は今日は下で寝る~!一緒に寝よ?」
「うん。寝よう寝よ~」
眞奈は本当に可愛い。仕草や話し方、部屋は散らかっているけれど、それは私と同じだし、女の子らしい。

電気を消して眠りに就いた。
お酒も呑んで、私達が来るのが遅いから待ちくたびれて疲れていたのだろう。直ぐに眞奈の寝息が聞こえて来た。

私は友達の家に泊まるのが初めてなので中々寝付けない。ひたすら目を瞑っている。

モゾ…モゾ…。

?何だろう。虫?

暗い部屋で目を凝らして原因を探ると、義則の足が私に絡み付いている。
「…しようよ」
義則は懲りずにまた変な事をしようとしている。
「何言ってんの?無理に決まってんでしょ」
私は小声で返す。