「かんぱ~い」
「かんぱ~…義則呑まないの?」
「酒あんま呑まねぇもん」
「あ、そ~?じゃあ、お菓子食べなよ」
「義則、冷蔵庫にジュース有るからテキトーに漁って~」
やはり眞奈は義則の事は余り好きでは無いのだろうか。

眞奈がグラスに氷を入れてくれたお陰で、コンビニで買ってから時間が経って緩くなってしまったチューハイが喉を伝う時、キンと冷えて気持ちが良い。しかも、帰りの時間を気にせず、眞奈の家に居られるから尚更、嬉しい。
そう言えば、私が失恋した時に義則の家に乗り込んで、やけ酒をした事が有る。義則と付き合って居るのに好だった人に告白してフられた。その人には彼女が居たけれど後悔したくなくて玉砕覚悟で告白した。思った以上に私はショックで義則の家で泣きながら、酒を吐くまで煽った。その時も義則は一緒に、お酒を呑まなかった。ショックで忘れてしまったけれど何か優しい言葉をかけてくれた。そんな私を可笑しいと思わなかったのだろうか。私は間違った事をしていると分かっていたのに。私は最低。

不快な顔をしながら眞奈は顔や身体を掻き毟っている。
「どうしたの?大丈夫?」
「眞奈お酒呑むと直ぐ赤く成っちゃうの。そんでアトピーだからかゆいの」
既に顔から下が赤くなっている。私もニキビ肌だから肌が辛いの分かるな…。義則は過食でも無いし痩せてるしニキビも無いから良いよね。義則は涼しい顔で、オレンジジュースを飲みながら、お煎餅を食べている。義則は眞奈の家に泊まる事より私と一緒に居る事のが重要なのを私は知っている。私の親がいつも口うるさく、彼氏と外泊はするなと言って1度も義則の家に泊まった事が無くて、眞奈を通して初めて外泊出来るからだ。

「あ~もう!眞奈メイク落として来る!」
目まで痒くなった様で、眞奈はお風呂に直行した。