「眞奈ん家って実家?」「いや、一人暮らしだよ。専門から近いとこに引っ越したから」
「そうなんだ。随分詳しいね」
「…中学からの付き合いだぜ?」
得意気に言うから何となく不愉快になる。

見慣れない景色が続く。家を出たのが夕方だから、道路は渋滞している。そろそろ着くよ。と言う義則に、お菓子とか買わなきゃいけないからコンビニ行きたい。と言った。
コンビニは何て素晴らしい場所なのだろう。お弁当、パン、お菓子、お酒、タバコ、おにぎり…と言えば千春ちゃんはまた、おにぎりを残しているのかな。と、小さく考えた。今は眞奈の家に泊まれる事で、嬉しいから。
チューハイ、ビール、ポテトチップ、お煎餅、チョコレート、この位にしておこう。私にしては少ないけれどハタから見たら買いすぎだろうか。多分私が殆ど平らげるだろう。
「買い過ぎじゃない?」
私の考えを読んだ様に義則が横やりを入れる。
「眞奈と食べるの」
少し苛々しながら焦って答えた。

やっと眞奈の家に着いた。駐車場が無いから、その辺の空き地に車を停める。中途半端に斜めになっている土の地面。義則は手こずっている。 下手だなぁ。早くしてよ。眞奈に逢うの、どんどん遅くなっちゃうじゃん。あ~難しかった。ふぅ…と溜め息混じりに義則は言う。初心者マークを付けているのにMR-2なんか乗ってダサいし。

眞奈の家はアパートの2階。ドアが開き、私達を見るなり、遅い。と、少々ご立腹だ。