でも相変わらず私は義則の家に居座っている。格闘ゲーム好きな彼は夢中になっている。私は窓も開けずに煙草を吸いながらゲーム画面を、ぼーっと見つめている。部屋がモクモクだ。煙草臭いって親に叱られるかな。明日はバイト休みだし、帰りたくないな。何か食べたいな。義則お菓子余り食べないからな。お菓子買って来てくれないかな。部屋をガサガサ漁る。何これエロ本?全く男って生き物は…。あれ?BLOODのCD、
"You"と"Sky"しか置いて無いじゃん。 ファンなら全部揃えるのが普通じゃないの。ドラマに影響されて"You"を買ったんだろうな。これだから浅いファン気取りは困るよ。極めなきゃ。極めだよ。あー、あのドラマもう1回観たいな。再放送やらないかな。ああ言う音楽プロデューサーみたいなスターと付き合いたいな。
ドラマの主演俳優の顔を想像しながら義則の顔を目を細めて、じっと見つめていたら私の携帯が鳴る。私の妄想は現実のチャンネルに切り替わる。

眞奈からだ。何だろう。
〈もしも~し〉
〈やほ~♪元気~?〉
〈元気だよぉ。つか暇~〉
義則が私を見る。暇と言う言葉に反応したのだろうか。
〈まじ?暇なら丁度いいね!ウチ泊まりに来ない?〉
何て良いタイミングで素晴らしい、お誘いなのだろう。断る理由など無い。
〈えっ?いいの?行く行く!〉
〈やったぁ!ウチの場所、義則知ってるからさぁ、大丈夫だよね?じゃあ待ってるね!〉
〈うん!お菓子とか、お酒とか持ってくね。また後でね〉

そうだ愛奈ちゃんと2人きりでガールズトークが出来ないんだ。私は義則とセットだ。場所知らないし、でも車の方が楽なのだから仕方がない。

いつの間にかゲームを止めて、電話のやり取りを聞いていた義則は当然の様に俺も行く。と言った。