男は、すんなりと校舎裏を離れて行った。


…ムカつく。


柚を好きになる男は嫌いだ。


もちろん…俺も俺が嫌い。


告白する勇気もない。


情けなくてしょうがない。


「あれ? 夏村?」

「…吉田」


同じクラスの吉田 由実嘉。

クラス委員長で、普通に喋れる数少ない女だ。


「こんなところでなにしてるの?」

「ぁー…女から逃げてきた」


こんなの大噓だ。


「あははっ! 確かにここは穴場かもね!」

「だろ?」