「ねぇ、なんでキスしてくれないの?」


これは、抱いた女が必ず聞いてくること。


「なんで好きでもないのにキスしないといけないの」


俺は、毎回同じ言葉を返す。


「ふぅん…あたしは好きだよ、陽太のこと」

「ふぅん。悪いけど、俺は好きじゃないんだ」

「…そっか。ねぇ、また、相手してくれる?」

「会ったらね」


女は、ニッと笑った。


その笑顔は…柚とほんの少し、似ていた。