「いいんだ。俺、もう1本折り畳みのやつ持ってるから。」 そう言って彼は教室から出て行こうとする。 「あと、神山君じゃなくて舜一でいいから。」 くるりと振り返って私にそう言った彼は教室を出て行った。 でもね。 私、知っちゃったんだ。 彼がその日、雨に濡れて帰って行ったこと。 嘘だったんだ。 私に気遣わせないようにするための彼のやさしさ。