靴をはきかえ、階段を上り、



教室に入る。






「おはよー」




私、ちゃんと笑えているかな?






「おはよう。一瀬!」


「おはようさん、美香ちゃん♪」


「おはよう美香!」






あぁ、なんで彼は美香と呼んでくれないの。


一瀬じゃなくて美香と呼んでほしい。


以前は名前を憶えていてくれただけで嬉しかったのに、私の心はどんどん欲が満ちてくる。


なにげないいつもの朝の風景が私の心をさらに曇らせる。








彼は友里香ちゃん以外の女子のことは名字で呼ぶ。




友里香ちゃんは彼の“特別な存在”




そのことを改めて感じ、



また心がずきっと痛んだ。