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私が狭い車内で伸びをした時、助手席の窓をコンコンと叩く音が聞こえた。
コンビニの袋を手にした赤井が私に“戻りました”と口パクで言っているのが判った。
「お疲れさまです!動きなしですか?」
「ああ。…あんパンどれだ?」
「あ、これが茂田さんのあんパンです。」
もう張り込みを開始してから10時間。
製薬工場に出入する人物やら車やらを監視しているが、これと言って動きはない。
私はあんパンをかじりながら視線は正門に向ける。
丁度大型トラックが入って行く所だった。
「…午後3時か…」
赤井はカレーパンをかじりながら手帳を開いた。
「事件ファイルに書いてありました。…“午前9時、午後3時、深夜1時”に入出荷らしいです。」
私はちらっと赤井を見て「本当にやるのか?」と聞いた。