基本的に私は単独で捜査する方が好きだった。
だが上司は「彼と捜査に当たれ」と、まだ青臭さの残る30前後の刑事を押し付けてきた。
「よろしくお願いします!茂田さん!」
そう言って目を輝かせながら私に手を差し出す青臭い刑事。
青臭いのに名前が“赤井”だったのにはちょっと笑えた。
「よろしく、“青井”刑事。」
「僕、赤井ですよ?」
「まだ青いからお前は“青井”だ。」
赤井は「酷いじゃないっすか~」と不貞腐れていたが、私は無視してコートを手に取ると捜査一課を後にした。
「待って下さいよ~!どこ行くんですか?」
「捜査の基本は聞き込みだろう?」
私の後を追って来た赤井が「なるほど」と呟いているのが聞こえた。
…やれやれ、本当に“青い”ヤツだ…