地図をめくりながら道を考えることをしなくなって、もう何年が経っただろう。
ナビが出始めの頃はトンチンカンなルートを鼻で笑いながら、走り慣れたルートを辿っていた。
しかし、ハード・ソフト共に格段の進歩を遂げた今、私はすっかりナビの言いなりである。
「久し振りのお休みだし、身体も気分もリフレッシュ出来ていいかもね」
妻がシートベルトの掛かりを直しながら嬉しそうに笑った。
結婚してはや八年。最初の子を流産してしまってから中々子宝に恵まれず、でもそのお陰も有ってか、いつまでも新婚気分が続いている。
妻の楽しそうな顔を眺めるのが、私にとって何よりの癒しとなっていた。