『目的地を設定して下さい』
使い慣れた、大阪弁の明るいオッチャンの音声ではなく、少し冷たい感じがする女性のナレーションに、ほんの少し違和感を覚えた。
おおかた車検に出した為、初期設定に戻ってしまったのだろう。
「なんか新鮮ね。こんな声も入ってたのね」
妻もそう言ってペットボトルの紅茶をコクリと飲み込む。
「今までは『ナビしまひょ。どこに行かれまっかぁ〜?』だったもんな。ヨソの車みたいだ」
とは言え、説明書は家に有る。三年も前に設定したそのやり方を、私が覚えている筈も無かった。
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