『ポーン。およそ2km先、右方向です』 ナビが幹線道路への合流を知らせる。 「やっと太い道に出るな。ここを走っていれば何か店でも有るだろう」 「そうね。それにもうそろそろお昼だし、何か美味しい物が食べたいわ」 居心地が悪い空気を文恵も感じていたのか、やけに明るく彼女は言った。 鬱蒼とした木立に囲まれ、暗かった悪路からも、これで漸くおさらば出来る。 私はアクセルを多目に踏み込んだ。 しかし。