「もうちょっと我慢出来るか? 暫くは山道みたいだから」
「うん。まだサービスエリアで買った残りが有るから平気」
妻は屈託無い笑顔を見せたが、ハンドルを握る私の手には嫌な汗が滲んでいた。
何故なら、明らかにおかしいのだ。あの場所からもうかなり走ってきた筈なのに、一向に少年に追い付かない。
ここに来るまで脇道などは無かったし、家や建物の類いも一切有りはしなかった。
少年は、その姿を忽然と消してしまったのだ。
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