「?……貴方?」


不意に黙り込んでしまった私を気遣って、首を傾げた文恵が上体を乗り出してきた。


「ああ、いや、何でもないんだ。そろそろ高速を降りて下道を行こうか考えててね」


「それもいいわね。じゃあナビ助……ナビ子さんにお伺いを立てないと」


文恵は安心したのか座り直すと、微笑みながら爪のチェックを始めている。


心配させないようにと口から出任せを言ったのに、意に反して文恵が賛成してきたので、仕方無しを覚られないように中継地点を追加した。