「・・・。」

弓を力強く引く。
的を睨む。

そして矢を放った。


「・・・よし。」


今みたいに、心配な事があったりすると、
なかなか上手く矢を飛ばせない。

「さっきみたいに、矢を放った後もちゃんと的を見るイメージで。」

「はい!ありがとうございます!」


どーにか、的中したけど。

かろうじてって当てれた感覚だ。

・・・琉花の奴、ちゃんと帰っただろうか。

さっきからさりげなく、道場の窓から見える下校している生徒を覗いているのだが、

琉花の姿は見ていない・・・


「キャー!!!!!!!!!!
光くぅぅぅん!!!!!!!!!!」


「・・・。」


ランニングしているバスケ部の中に邦是光が見えた。

周りの女子が皆、黄色い声で叫び始める。

同時に邦是以外の男子は大儀な顔を見せていた。

俺も含めて。

「超可愛いーー!!!
きゃぁっ!目があったかも!」
「ちょっ、何あの一年?光君とカブッてんだょ!どけよっ!光君見えねー、キャー!!見えた!」


・・・本当に腹立つ。
あの野郎。

猫カブッて優等生のふりしやがって。

人殺してんのに、よくあんな演技出来るな。

つーか、琉花に何にもしてないだろうな。


「先生ー!ちょっとフォームがわからなくなってきて・・・」

「はいはい。」


駄目だ、集中しないと。


とりあえず、部活が終わったら、教室に戻って居るかどうか確認するか。

居たら、何と言われてでも車で送ってやろう。