ふあぁっと大きな欠伸をした。
ヤラレタ!!流石にキツい…

「まぁた直??今日は誰?」

『ケンジ…ダメ。アイツ力任せの体力バカ!!腰が逝かれるかと思ったよ!!』

ケンジは私の男友達。って言ってもそんな純粋なもんじゃないけど…

「ったく!!いつか女に後ろから刺されるよ??ケンジ本命いるんでしょ?」

『私に本命のいない奴なんていないよ。いいんだよ!それで…その方が楽じゃん!!彼氏面されたくない。どうせ男なんて皆浮気するじゃん。』


「しねぇよ。」

後ろから声がした。振り向くとそこに居たのは美野里の彼氏の安井優吾(ヤスイユウゴ)通称ヤス。
ヤスは赤い髪に緩いパーマを掛けた所謂ヤンキーだ。

『何だ。ヤスか…乙女の話に聞き耳立てるなんて悪趣味だな。』

「なぁにが乙女だ!!乙女が話すような内容じゃ無かっただろ…」

『女も所詮女。ヤる時はヤる』

「ヤメレ!!
アロマは美人なんだから勿体ねぇよ。安売りすんの止めろよ」

『うっさい。ヤスに言われたくない。美野里に会う前までは来るもの拒まず去るもの追わずだった癖に…』

言ってはいけない一言を言ったせいで一気に空気が凍りついた。

『ごめん…
今日は帰るわ…』
鞄を持ち席を立った。

「アロマ!!」

美野里の声を背に教室を後にした。