「そんなとき、交通事故で愛未が死んだ。ますます親のあたしに対する扱いは酷くなった」
愛理は俺に左肩を見せた。
そこにはうっすらだけど、青アザがあった。
「10年くらい前にできた痣なんだけど消えないんだよね…。日が経つにつれて親からの暴力が酷くなった。そんなとき、1人暮らしする兄貴があたしを引き取った。
殴られることはなくなっても、心に負った傷は消えない。あたしは無意味なケンカばかりして、兄貴に迷惑かけてた。
あの日もケンカしたあとだった。
偶然、この木を見つけたんだ…」
愛理の過去……。
それは俺の思ってたよりも辛く、悲しい、過去だった。