元総長は1度だけ見たことあるらしい。


蝶のように華麗で鳥のように自由な動き。


一目見て憧れた、と聞いた。



それから女龍のことは噂で俺の耳に入ってくる。


意外なことに、女龍の今の総長――つまり、女龍の創立者は女だった。



「総長…女龍の副総長が…」

「どうした?」



総長部屋に入ってきた、情報屋の下っぱに聞いた。


「……先日、お亡くなりになったそうです」


…なんだと…っ?!


俺は耳を疑った。



「理由はまだわかりません。分かり次第…お知らせいたします」


下っぱはそう言って部屋を出ていった。