「……さくら、けの…はか…?」


そこには金色の字で“佐倉家之墓”と書かれている。


そう……このお墓はあたしの家のお墓。


お墓の正面に立っている純。



「…純。ここ……」


あたしはお墓の横に移動し、石碑に銀色で書かれてる数多くの名前のうちの、1つの名前を指差した。



「……迅の名前」



あたしが指差した名前は“李 迅”。


あたしは親父に話して、迅をこのお墓に入れてもらうことができた。




結局あたしたちは、日が暮れるまでお墓の前にいた。



「愛理。ありがとな…。何かあれば迅が守ってくれるはずだ。だからムチャはするな。

生きて必ず…戻ってこいっ!」



なぜか純の言葉は胸に響いた。



あたしは純に背をむけ歩き出す。


何も言わず、ただ右手を空に向かって高く上げた――。