そして、楓も少しだけ落ち込んで俯いていると


「……楓。」


と、土方が楓に話しかけた。

楓はバッと顔を上げて返事をする。


「は、はい!何でしょうか。」


すると、土方は楓の頭を撫でる。


「ま、アレだ。お前がどんな理由で此処にいようがな、もう仲間なんだ。」


「…はい。」


「それにな、俺はお前の軽業はなんつーか、一回しか見てねぇけどな…案外好きだ。」


「っ、はい!」


楓が笑顔になったのを見ると、土方も少し口角を上げ、最後にポンポンと軽く頭を叩いてから手を離した。


(土方さん…、凄いなぁ。)


きっと…、分かったのだろう。
さっきの話で、楓が軽業から逃げたことを思い出し、自己嫌悪に陥っていたことを。

そして、そのことを理由に新撰組にいることを、みんなに後ろめたく思っていることを。