「あっ!おい待ちやがれ!」


後ろであの美丈夫の声が聞こえたが、無視した。



「イケメンはイケメンらしく女を侍らせてれば良いのに…。」


楓は人の居ないところを目指した。




―――…




「チッ。あの女……絶対見つけてやる。」


「土方さーん!何かあったんですかぁ?」


「あぁ、……面白そうな女が一人……な。」




美丈夫―――…土方と呼ばれた男は、髪を揺らしながら、裏路地から出て行った。




(久しぶりに……楽しくなりそうだ。)



口元を、愉しげに吊り上げながら。