楓ははじめて知る。 “キモイ”とは、こういうときに使うのだ、と。 「なぁ姉ちゃん、ちょっくら楽しいことしようぜぇ?」 「楽しいこと?」 「悪いようにはしねぇよ。」 「………。」 男達の言っていることはよく分からないが、良いことではないことは分かった。 この状況をどうやって切り抜けようか迷っていると 「おい、てめぇら。こんな所で何してやがる。」 凛とした、それでいて男らしい声がした。