楓はニヤリと笑う。
「ちょうど良いや。ちょっとこれ、頂戴ね?」
――――ドカッ
―――――バキッ
一人に回し蹴りをし、そのまま一回転して、その勢いでもう一人に横から拳を叩きつける。
もう薄暗い夜。
いわゆる、闇討ちだ。
楓は一人の男からは着物を拝借した。
そして先ほどまで着ていた自分の服を切り裂き、サラシとして使う。
一応、男物の着物だから男装するつもりだ。
そして余った布を、これまた切り裂き、紐を作り出して、髪を結ぶ。
楓の髪は、肩につくかつかないかの所で切りそろえられている黒髪だ。
それを、一応結んだ。