「なんて?」


一番に聞いて来たのは祥太。
こいつ、昨日付き合い始めたばっかで幸せ絶頂期だ。


「放課後、楓子の家行ってくる」

「謝れよ?」

「ケンカするな?」

「悪いのは雄紀なんだからね」


全員に念を押される。

その後、遅刻ギリギリなことに気が付いた匡史さんが亜也と濃厚なキスをして高校の裏にある幼稚園に駆け込んで行った。


「俺らも教室行くか」

「そうだな。…あ」

「え?」

「雄紀、俺な舞と付き合うことになったから」

「知ってる」


はぁ、とあからさまなため息をつく。


「え、舞ちゃんと!?」


一番驚いたのは亜也。
そうだよな。
亜也と楓子は何故か、うちの姉ちゃんを崇拝している。


「舞ちゃん泣かせたら殺す」

「大丈夫だよ」

「雄紀みたいな事したら、刺すから」

「大丈夫だって!!」

「てか、俺みたいな事って…」


俺みたいな事、それは楓子が傷付いている理由。

俺は楓子との約束を破って他の子とデート。
キスまでしてしまった。

それを楓子と亜也と匡史さんに見られたのだ。