声も
しぐさも
赤く染まった顔も。
全てが愛しい。
「っ!
か、嘉向ぁ・・・っ!」
俺の肩に手を回す。
「ふぅあ・・・・・っ
・・・んんんっ、あぁんっ」
俺は腰を振る。
「あっ、あんっ
ひゃあっん・・・っ、イクぅっ」
・・・・・全てが、愛しい。
「あぁぁあぁんっ!」
行為を終えた俺たちは
そのまま眠る。
「今日は、いきなりごめんね。」
「気にすんなって。
明日休みだし。暇だったし。」
「・・・ありがと。
嘉向は優しいね。」
「何、いきなり。」
「ううん。言ってみただけっ」
そう言って、俺に抱きつく百合。
無邪気で可愛い笑顔を俺に向けた。
「んっ、ふあ・・・」
俺たちは唇を離し
見つめあった後、また唇を重ねた。
何度も、何度も、何度も。
お互いを確認しあうように
唇を重ねる。
だんだん激しくなるキス。
百合は俺の肩に手を回し
足を絡めた。
俺もそれに答えるかのように
百合の腰に手を回した。
今日はいつもと違う。
百合の心は
俺に向いている気がした。
激しいキスが終わり
また見つめ合う。
俺は百合のおでこに
キスをして。
俺たちは深い眠りに付いた―・・・
普段より満たされた夜を過ごして
早一週間。
百合の仕事の都合で
あれ以来会っていないが
距離が縮まったように思えた俺は
百合に会えない寂しさより
次、百合に会うときの嬉しさのほうが
はるかに勝っていた。
今日、
俺は長居の買い物に付き合う約束をしている。
もう直ぐ奈波さんの誕生日らしい。
誕生日と1ヶ月記念が重なるから
盛大にいきたいんだそう。
放課後。
俺たちは近くのショッピングモールに
来ていた。
「何買うか決めたのか?」
「指輪とか♪」
「指輪?
お前、引かれないようにしろよ」
何件かあるアクセサリーショップを回り、
やっと見つけた指輪は
小さなハートが付いていて
可愛らしかった。
「これは運命だな!
いかにも柚希(ゆずき)って感じ!」
「・・・・・喜ぶといいな。」
ウザいけど、
素直にそう言える長居が
羨ましかった。
自分で言うのも変だが
俺は素直じゃない。
百合にも
『好き』
なんて言わない。
長居のノロケ話を聞いて
さすがにうんざりしてきた俺は
飲み物買って来るといって
その場を一時的に逃げた。
近くにあったコンビニに入り
適当にスポーツドリンクを買い
店を出ようとした時。
俺は固まった。
百合がいた。
知らない男と2人で歩いていた。
しばらくして、
店員に声をかけられて
俺は我に返った。
「すみません、大丈夫です。」
と言って店を出た。
それから、
どうやって家に帰ったかは覚えてない。
誰だよ、あの男は!
俺の中で
何かが壊れた。
俺は人が変わったように
遊びだした。
告って来た奴は
片っ端から満足させてやった。
今日も、1人の女の欲求を
満たしている。
「嘉向ぁ、んんんっ」
あえぎ声をあげているのは
梨奈(りな)。
今日、街で声をかけられた。
黒く焼けた肌に
濃いメイク。
清楚な百合とは真逆のタイプだ。
梨奈はおれのに
激しくしゃぶりついている。
俺もそれに答えるように
梨奈のそこを舐めた。
「あぁぁんっ!
気持ち、気持ちいよお・・・っ!」
こんな下品な声を聞いても
何とも思わない。
全てを百合と重ねてしまう。
「嘉向、入れてっ
あんっ・・・んん・・・
じらさないで、入れてぇっ・・・!」
梨奈が望んだとおり
俺を梨奈の中に入れてやった。
「ひゃあんっ
イクっ、あぁんっ!」
俺を全て、
梨奈の中に出してやった。
満たされない。
誰とやっても、甘い言葉をかけられても。
百合じゃなきゃダメなんだ。
だから、その行為は
百合の時と比べようがないくらい
荒っぽく、雑だった。
百合はいつも割れ物を扱うかのように
丁寧に、大切にしてた。
俺じゃ、ダメなのか・・・?
梨奈と別れて
家に向かう途中。
ケータイが鳴った。
開いて確認したらメールが来ていた。
百合だ。
何度か電話がかかってきたが
全て無視していた。
だから、メールを送ったのだろう。
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話したいことがあるの。
桜の木の下で待ってる。
――――――――――
シンプルで百合らしい。
胸が締め付けられた。