∽真優花の過去3∽


やけに重い瞼を開くと

なんだか白い風景…


体がだるい…


「う…ん…」


『あっ…』


この声…恵方堂くん…?

そうだ…あたし…
彼と物理室に…

ん?
ここ…どこ?


『相澤さん!?

先生っ!相澤さんがっ…』


先生…?


って…どの先生?


『相澤さん!大丈夫?

目を覚ましてくれて
良かったーっ!

今、救急車呼ぼうかって
相談してたのよ!』


「え…?」


救急車…って
どういうこと?

ぼんやりした意識の中
あたしが見たのは

心配そうな顔で
あたしを覗き込む

恵方堂くんと…


保健の先生の顔だった。



「あの…?」


そう、気がつけば

あたしは何故か

保健室のベッドに
寝ている状態だった…


『相澤さんが、
急に意識失ったって言って

彼がここまで運んで来てくれたのよ?』


「えっ…?」


驚いたあたしは
咄嗟に体を起こそうとした

その瞬間…
頭がクラッとして

再びベッドに体を落とす。


『だめよ、急に起きちゃ。

まだ顔色が良くないし…
寝不足じゃない?

一度、貧血の検査を
受けた方がいいかもねぇ』


確かに昨夜は…
少し、遅くまで起きてた。

そのせいなのかな…?




しばらく休んでから

恵方堂くんを迎えに来た
高級車で

家まで
送ってもらうことになった


彼は、最後まで
あたしを気遣ってくれて…


いい人なんだなぁ…


と、しみじみ感じつつ

彼の笑顔に見送られながら
家に入った。




その夜、鞄を開けると…

「あれっ…携帯が無い!」

どこかに落としたのかな?

もしかして…学校…?

ヤバい…
先生に見つかったら
没収されちゃうよ…


明日、早めに行って
捜さなきゃ…



ベッドに潜り込み

まだ少し混乱気味の頭で
考えてみたけど


物理室で
ジュースを飲んだ後の記憶が

不思議なくらいに
全く無かった…