ただ1人


その状況を

楽しそうに
眺めていた彼は…


恥ずかしくて泣きそうな
あたしを見ると


プッと吹き出して

それからしばらく
笑い続けた…


あたしは、その様子を
呆然と見ていたけど…


彼が
あんまり楽しそうに
笑うから


あたしの顔も

つい、ゆるんでしまう…


「もーっ
いつまで笑ってんの?」


「だって真優花っ!
すっげータイミング!

そんなさ…他の人にまで
聞かせなくても
よかったのにっ!」


「うー…だって…」


「ふーっ
真優花って、最高だなー」


「わ…悠斗!
からかってばっかり…」


彼は、ようやく

少し落ち着いたみたい…


呼吸を整えると
また、ニコニコ笑って

ハンバーグの、大きな塊を
口に運びながら


未だに赤い…
あたしの顔を覗き込んだ。


「ところでさー

今…
俺の事、和野って
言おうとしたろ?」


「して…ないよ…?」


そう答えながら…

あたしは
めちゃめちゃ焦っていた。

…やばーい!
やっぱりバレてた!?


「嘘つけーっ!
しかも…

さっき
好きって言ってくれた時も
言いそうになってたろ?」


「そんな事…ないよ…」


言いながら、思わず
視線を逸らす…


バレバレだよー…


そんな
あたしの気持ちを

見透かしたように…

彼の視線が突き刺さる。


「ホントかーっ?
俺の目見て…言える?」


彼に、そう言われて
視線を彼に戻した…

そして…


「…ごめんなさい…」



彼の
まっすぐな瞳に

嘘なんてつけないよ…