店長達が奥へ戻ると

悠斗が話してくれた。



土日は、
この店でバイトしてること


ここの店長夫婦は、

坂口くんの親戚で


中学生の千鶴ちゃんは

週末や夏休みなんかに

このお店の
手伝いをしていること。


そして…




「この店ってさ…
俺の理想に…近いんだ。」


「理想…?」


「うん。

ずっと、ずーっと
先の事だけどさ…


将来…結婚とかして
自分の家族が持てたら…


こんな風に家族一緒に

仲良く、楽しく
過ごせる場所を

作りたいんだ。


どんなに歳をとっても…

好きな人とずっと一緒に
同じ空間の中で過ごせたら
いいなって…


まだ、漠然となんだけど

どんな場所でもいいから
一緒に居たいって…

思うんだ。


…愛する人と、死ぬまで
同じ時間を刻んでいけたら

幸せだろうなって……



ちょっと照れるけど…

これが
俺の…夢…ってやつ…?」



はにかみながら話す彼の


その目は…



とてもキラキラ輝いていて



なんだか、あたしまで


その夢の中に



引き込まれていくみたい
だった…




「…素敵だね…」


「え?」


「その夢…
とっても素敵だと思う。」


あたしは


感じた事を

素直に言葉にした。



そして


こう思った。



いつか…


彼の夢が叶う時



彼と

同じ空間にいるのが



あたしだと


いいな…