ハキハキと明るく話す
その子は

あたしの姿を見て…


『あっ!もしかして…
悠くんの彼女さん?

初めましてっ
私、坂口 千鶴です!』


と、手を差し出した。

咄嗟に
あたしも手を差し出す


「あ…初めまして…
あたしは、相澤…」


『真優花さん!』


「え!?」


『ですよねっ?

兄からよく聞いてます!』


兄…?

坂口…?


「あ!坂口くん…の?」


『はい!
私、坂口 啓樹の妹です。
兄貴がいつも
迷惑かけてます!』


千鶴ちゃんは

話しながら、あたし達を
席に案内してくれた。

よく見ると

確かに似てる…かも…


「坂口くんは

凄ーく頼りがいのある
お兄さん…でしょ?」


『ふふっ…どーだろっ?

結構思い込み激しくて
すぐ暴走しちゃうからなー

…ふつつかな兄ですが
これからもヨロシクです』


ペコリと頭を下げて

彼女は
カウンターへ戻って行った


入れ替わりに、今度は
四~五十代くらいの男女が

水とメニューを持って
やって来た。


『いらっしゃい、悠くん』

店主らしき人が
声を掛けてくる。


悠斗は、あたしに2人を
紹介してくれた。

「この店の
店長と、奥さんだよ。」


さらに、2人にも

「相澤 真優花さん…」

と、
少し照れながら
紹介する…


「は…初めまして…」


『いらっしゃい。
悠くんから、あなたの事
聞いてますよ。』


奥さんから
そう言われて…


あたしも、彼も…

顔を赤らめた。


その様子を見て
店長が微笑みながら言う。


『いいねぇ、若い人は…

ところで、お母さんの具合
どうだい?』


「随分…元気に
なってきてます。

いつも心配してもらって
すみません。」


『何かあったら
遠慮無く言ってね。

…それじゃ、真優花ちゃん
ゆっくりしていってね。』


そう言って2人は
テーブルを離れて行った。