「えっ…わ…やっ…」
突然抱き締められて
焦ったあたしは…
思いっきり彼を
突き放した…
ドンッ…
「おわっ!」
彼は驚いてあたしを見る…
次に彼があたしの方へ
手を伸ばした瞬間…
叩かれる…
そう思ったあたしは
咄嗟に目をギュッと閉じて
ビクッと
全身をこわ張らせた…
「…真優花…?」
彼の手が
優しく
あたしの肩に触れる…
「え…?」
ゆっくりと目を開くと
心配そうなまなざしで
あたしを見つめる
彼の顔が
目の前にあった…
「あ…」
「ごめんな…そんな…
怖がらせるつもりじゃ
なかったんだけど…
俺
マジで嬉しくて、つい…
抱き締めたりしてゴメン」
「ち…がうの…
少し…びっくりしたけど…
ごめんなさい…」
まだ…かすかに震える
自分の腕を
両手で抑えながら
彼に謝った…
あたしの中の恐怖は…
彼のせいじゃない…
過去の出来事によって
あたしの心に
深く刻み込まれた恐怖を
体が勝手に思い出すんだ…
「真優花…」
「はい…?」
「何か…辛いことがあれば
何でも俺に話してよ。」
「…うん…ありがと…
でも、ホントに…
驚いただけだから」
「…そう?
じゃ、また抱き締めても
いい…?」
「へっ…?あ…それは…」
「真優花って
本当に可愛いなーっ!」
「もー…和野くん
からかいすぎっ…」
「あーっ
また和野くんって言った」
「ごめん…しばらくは
言い間違えるかも…」
「じゃ、間違えたら
ペナルティとして…
俺の言う事
聞いてもらうってのは?」
「ええーっ??」
「いいじゃん!
簡単な事しか
言わないからさっ…
決まりねっ!」
「もーっ!
勝手に決めちゃダメーッ」
「真優花が
間違えなきゃいいんだよ」
この強引さ…
母親譲りなのかも…