黙ったまま、睨み合う
りっちゃんとアズって子の
様子を…
あたしは
ちょっとドキドキしながら
見ていた。
『なーんだ
そういうことかーっ!』
その言葉に
みんなが一斉に
振り返る…
言ったのは
サトって子だった。
『サトちゃん…?
どうしたの?』
『あの子って…
坂口の彼女なんでしょ?
ほら…よくあるパターン
なんじゃん?
お互いに…友達会わせて
くっつけちゃうみたいな…
言っちゃ悪いけどさー
バカップル的な感じ…?』
『はぁっ?』
それを聞いたりっちゃんが
サトって子を睨む。
三崎さんは
慌てた様子で言った。
『ちょっと…サトちゃん
それは言い過ぎだよ…』
『だって実際そうでしょ?
坂口と和野は、
めっちゃ仲良いわけだし
この2人も
親友ぶってるじゃん?
そーゆーのマジ寒いし!』
どうして…
この、サトって子の言葉は
こんなにも
敵対心むき出しで…
いちいち
カチンとくるんだろ?
こんな事言われたら
りっちゃんが
どんな気持ちになるか…
そう考えただけで
あたしの心にも
ふつふつと
怒りが沸いてくる…
「変な事言わないでよ!
りっちゃんと坂口くんの
事は、関係無いじゃん!
あたしは、和野くんの事
自然に…
好きになったんだし。
それに
あたし達は、何も悪い事
してるわけじゃない。
なのに、どうして…
関係無い人達に
文句言われなきゃ
いけないの!?」
あたしは
サトって子の顔を見ながら
ここまで言うと、
再び…
アズって子を
まっすぐに見つめて
言った。
「あたし、和野くんの事
真剣に…好きだから」
すると、りっちゃんが
無言のまま
あたしの手を
ギュッと握った。
指先から…
りっちゃんの思いが
伝わってきて
なんだか泣きそうだった…