教室に

他の誰かが来ようとも…


微動だにしない
アズって子につられて…


あたしも
ドアを背にしたまま
動けずに


お互い、ずっと
見つめ合ったままだった…


『あ…れ…三崎ちゃん?
まだいたんだーっ?』


ドアを開けた人の声が
背後から聞こえた。


ん…?この声って…



三崎さんが
親しげに答える。

『あれーっ!?

こんな時間に…
どうしたのっ?』


『んー、啓樹の奴が忘れ物
したって言うからさー

ちょっと取りにね…』


声の持ち主が、だんだん

こっちへ近付いて来る
気配を感じて…


あたしは
ゆっくりと振り向いた。



『ホント、面倒くさ…

…は?…真優花っ??』



やっぱり…


教室に入って来たのは

りっちゃんだった…



りっちゃんは


この教室の…


どう見ても不自然な状況を
疑問に思った様子だった。


『ちょっと、なに…?

これって…
どういう状況なわけ?』


しばらくの沈黙の後…

三崎さんが口を開いた。


『あ…莉音ちゃんって…

相澤さんと

仲いいんだっ…け…?』


『真優花は…

うちの親友だけど?


真優花っ…三崎ちゃん…

いったい、何なの?』




あたしは…何とも言えずに

ただ、目で訴えていた…


…りっちゃん、助けて…

と。



『あ…』


りっちゃんが
あたしの側にいた子を見て

険しい顔つきになった。


『誰かと思えば
紺野さんじゃんっ!?

真優花に、いったい
何の用なわけ?』


ちょっと嫌味っぽく
そう言いながら

アズって子に迫っていく…


『ウチが、この子と
話すのが…何か悪い?』


彼女も負けずに言い返す。


こうして

睨み合う…2人の間には



何となく…


あたしの知らない




因縁でもありそうな

雰囲気だった…