『相澤さんってさー…

ウチの事…知ってる?』


「…あ…うん…

和野くんと話してるとこ
見た事あると思うけど…」


『それだけ?』


「え…」


どういう意味だろ…?


彼女は
ゆっくりと深呼吸した後

あたしの顔を
じっと見つめた…


『ウチ…中学の時から
ずっと和野っちのことが

好きなんだよね…』


中学の時から…
好き…なんだ…?


ドキドキと言うより…

ズキズキと…痛いくらいに

胸の鼓動が速まる…



『あいつ…女とは
ほとんど喋らないし。


それでも、あきらめずに
何度も話し掛けて…

やっと最近、少しずつ…

笑って話してくれるように
なったんだ。


だからさ…
もうすぐ誕生日だし…

その時プレゼント渡して
告るはずだったのに…


いつの間にか

彼女できてたなんてさ…
ウチ、アホっぽいよねー』



そんなこと言われても…

何て答えれば…


『わかってる…

そっちにしてみれば
だから何?って感じ
なんだろうし…

別に相澤さんが悪いわけ
じゃないよね…?』


「…何が…言いたいの?」


自分の声が、かすかに
震えているのがわかる…


『ひとつ…
聞いておきたかったんだ。

相澤さんって…

ホントに真剣に

和野っちのこと…


好きなん?』



あたしは

ゴクリと唾を飲むと


彼女の目を
しっかりと見つめて…



深く、頷いた。



その直後―



教室のドアが
勢いよく開いた…