「何でいちいち、そんな事
言わなきゃいけないの?」


ちょっと
キレ気味に言ったあたしに

サトって子は、一瞬
驚いた顔をしたけど


すぐに、怒りを
顕にしながら言い返した。


『はぁ?
あんたは質問に答えれば
いいんだよ!』


「何の為に?」


『うるせーよ!

答えろっつってんだろ?』


『サト!』


サトって子があたしの首を
掴もうとした時


ずっと座って見ていた
長い髪の子が

立ち上がった…


『…ウチが話すよ。
2人共あっち行ってて。』


『はっ?
こっちは、アズの為に
聞いてやってんじゃん』


『わかってる。

でも、この子…そんな風に
脅しても無駄そうだから』


アズって呼ばれた子の
声を聞いて…

あたしは、ハッとした。


この子…

よく、うちのクラスに来て

和野くんに話し掛けては


いつも
軽くあしらわれてる子だ…


あたしは

いつも遠くから
それを聞いてるだけだから

顔を見ても
ピンとこなかったけど


声を聞いて…

ハッキリと思い出した。




『サトちゃん…行こ…』


三崎さんが

未だにあたしを睨み続ける
サトって子を教室の隅まで
連れて行った。



『相澤さん…だっけ?

お願い、教えて…?

和野っちと…
付き合ってるの?』


和野っち…そういえば

そう呼ばれてたっけ…


ぼんやりと思い出しながら

あたしは
アズって子を見つめた。


端整な顔立ちに

強気な瞳と

綺麗な長い髪…


その上スタイル抜群だし…


こんな綺麗な子が

和野くんの側に居たなんて


今まで気付かなかった…


この子って…

和野くんの事…?



とにかく

こんなに真剣に聞かれたら

あたしも
真剣に答えるべきだよね…