「相澤さん?」
「へっ?」
急に声を掛けられて
思わず声が裏返る…
「そんなに急がなくても
まだ時間あるから
大丈夫だよ?
なんか…
小走り状態じゃん」
彼はそう言いながら
少し笑った
緊張から
逃げ出したい一心で…
無意識のうちに
歩く速度が
上がってたみたい
なんだか恥ずかしい…
更に俯いた顔は
すごく熱くて…
真っ赤になってるのが
自分でもわかった
―委員会では
いつものように
和野くんが
あたしの書いた提案書を
読み上げる
「1-Aです…」
…あたしは和野くんの声が
好きだった
よく通る、綺麗な声…
男子の顔なんて
恥ずかしくて
ほとんど見ないし
もちろん
和野くんの顔も
まともに見た事なんて
無いけど
声は
いくらでも
聞く事ができる…
和野くんの声を
聞いていると
なんだか
すごく
心地よかった