どことなく
気まずいムードの中…

唯一、笑顔を絶やさない
三崎さんが

戸惑い気味の
あたしの顔を覗き込んだ。


『ごめんねー
急に呼んだから
びっくりしたでしょ?』


「あ…ううん…大丈夫…」


『あのね、相澤さんに
聞きたい事があるんだ。』


「聞きたい事…って?」


三崎さんは

黙ったままの2人を、一瞬
チラリと見てから言った。


『相澤さんって…
彼氏とか…いるの?』


「え…」

その瞬間

自分の顔が赤くなるのを
感じた…


「…どうして…?」


『相澤さん、最近すごく
かわいくなったからさーっ

ねぇねぇ…
彼氏、できたんでしょ?』

三崎さんは
ひとなつっこそうな笑顔で

肩が触れるくらいの
位置まで近付いて来た…


どうして…

そんな事、この子達に
言わなきゃいけないの…?

そうは思ったけど

とりあえず…

「うん、彼氏…いるよ?」

と答えた。

とにかく、早く帰りたい…


でも、三崎さんの話は
終わらなかった。


『やっぱ、いるんだー?

で、相澤さんの彼氏って
同じクラスの人?』


「…どうして…?」


あたしは、だんだん
嫌な気分になってきて

下を向いた。


『あ…もしかして…
付き合ってる事
内緒なの?』


「そうじゃないけど…」


『じゃあ…』

三崎さんが
何か言いかけた時

少し離れた場所から
こっちを見ていた

1人の子が
突然、だるそうに言った。


『三崎っ

そーゆーウザいの…
もういいから』


『サトちゃん…』


サトちゃんと呼ばれた子は

あたしに近寄ると

こう言った。


『あんた、和野 悠斗と
付き合ってんの?』


今日初めて会ったのに

あんた…って

何なの、この子…?


さすがにカチンときた
あたしは

静かに顔を上げて

その子の顔を見た…


『答えろよ…』



更に強気な、そのセリフに

あたしはついにキレた…