―放課後―
委員会が終わると
和野くんはバイトの為に
早々と帰った。
今日は
ゆりっぺも用事があって
早く帰ったし…
「りっちゃん…
まだいるかな…?」
現在、サッカー部の
マネージャーは
人手不足らしくて
りっちゃんは時々
その手伝いをしていた…
今日も行くって言ってたし
ちょっと見に行こうかな…
そう思いながら
自分の教室から出て
廊下を歩き始めた…
『相澤さん!』
突然、呼び止められて
声の方を見ると
隣の教室のドアから
ひょっこり顔を出している
見覚えのある女子がいた。
この子って確か…
坂口くんと結構仲が良くて
りっちゃんと話してるのも
何度か見たことがある…
三崎(みさき)さん…
だっけ…?
でも、あたしは全然
話したこと無いんだけど…
『ちょっとだけ…
いいかなー?』
なんだろ…?
疑問に思いながらも
愛想のいい笑顔で
手招きされて…
隣の教室に入った。
ガランとした教室には
あと2人
女子がいた…
1人は、なんとなく
見覚えのある髪の長い子。
名前は知らないけど
その、気の強そうな顔で…
腕を組んだまま
こっちを見てる…
と言うより
睨んでるみたい…?
正直言って
苦手なタイプかも…
もう1人は
全く知らない子…
やっぱり、なんとなく
睨んでるみたいに見える…
いったい…何だろう…?
その教室には
入ったことを
後悔するくらいの
不穏な空気が漂っていた…