「ねぇ、どうせ
授業サボったことだしさ
もうちょっと話さない?」
和野くんは
なんだか嬉しそうに
そう言った。
「あ…うん…」
まだ
告白の余韻に浸っていた
あたしは
真っ赤な顔のまま頷く。
「とりあえず
ここ寒いし、中入ろっ?
…んっ!」
と
彼が、あたしに
手を差し出した…
それが
あまりにも自然だったから
思わず
その手を握ろうとしたけど
少し冷静な自分がいて…
恥ずかしさのあまり
慌てて手を引っ込めた。
でも彼は…
そんなあたしを見て
にっこり笑うと
戸惑うあたしの手を
素早く握った…
「え、あ…」
驚いて
彼の顔を見上げると
「ちっちゃい手ーっ!
…相澤さんって
やっぱ、かわいいね」
と言って、照れ笑いする。
和野くんの手は
ほんのり温かくて…
その熱があたしの体に
流れ込んでくるみたいに
あたしの全身は
カーッと熱くなり
ドキドキしながら俯いた。
「和野くんて…
なんかイメージ違う…」
すごく恥ずかしくて
小さな声で…
ボソボソと言った。
「そう?
真優花は…
イメージ通りだね?」
「え…」
突然
名前を呼び捨てにされて
胸がますます高鳴る。
彼にも
聞こえてしまいそうな
くらいに
ドキドキしていた…
「こう呼ばれるの…嫌?」
あたしは
俯いたまま、首を振った。
「じゃあ…俺の事も…
名前で呼んでくれる?」
「ええっ!?
…あ…それは…えー…」
慌てふためく
あたしの頬に
彼の大きな手が触れた…
ビクッ
「ひゃっ!」
「こんな冷たくなって…
早く中に入ろ?」
彼は、あたしの頬を
そっと撫でながら言う。
「今すぐじゃなくても
いいからさ…
いつか、呼んでくれる?」
あたしは
一瞬
彼の目を見て
ゆっくりと
頷いた…