…気が付くと
和野くんが
あたしに
後ろから抱き付いていた
ハッとして、足元を見ると
そこは…
屋上よりさらに高い
建物の一番端っこで…
思わず真下を見て
その高さに脚がすくんだ…
「ひゃっ…」
と
悲鳴にも似た声をあげる
あたしを
引きずるみたいにして…
建物の中央付近まで
連れて行くと
急にフラッと
後ろに倒れる彼…
それに引っ張られて
そのまま2人は
重なるように倒れ込んだ
ドサッ
…しばらく放心状態の
あたし達は
突如
学校中に響き始めた
始業ベルで
我に返った…
「あ…あっぶねーっ!!
…落ちるかと思った!!」
「ご…ごめん…」
しばらくしても
和野くんの腕は
まだ、あたしの体に
巻き付いたままで…
つまり
あたしは
まだ
彼の体の上に
乗っかったままなわけで…
でも
和野くんは
その手をゆるめてくれる
気配が、全く無かった…
「あっ…の…
わっ…和野くんっ…」
「なに…?」
不機嫌そうな返事
「ごめん…なさい…
た…助けてもらったのに…
悪いんだけど…
もう…はっ、はなして…」
「…嫌だ」
え…?
怒ったように
そう言った彼は
あたしに抱き付いた腕に
さらに力を入れた…
「あ…の…?」
「相澤が…
落ちる! …って思って
駆け出した瞬間…
俺…
生きた心地しなかった。
俺みたいな奴に告られて…
迷惑なのはわかるけど
頼むから
もう逃げないでくれよ…
俺の言った事は
忘れていいからさ…」
彼は、そこまで言うと
深い…ため息をついた