「終わっちゃうね、夏」

「終わっちゃうね~」




そっと渓ちゃんの手を握った


何も言わずに渓ちゃんはそれに応えて手をぎゅって握り返してくれた




あと少し

最後の花火が打ち上がれば



今年の夏の終わりの合図









別にこれで別れるとかそういう訳じゃないのに

何でこんなに悲しいのか





「終わった…?」




最後と思われる花火が打ち上がった

定期的に上がっていた花火が上がらなくなって終わりを感じた



花火の光で明るかった周りが一気に真っ暗になって

夏が終わったんだ…





「奏、」


「え………?」




私を呼んだ途端




そっと


キスをした











私の唇に