詩音との電話は続いたまま。



 「あなた…芸能人だったの?」


 『あぁ。前に話したけど。』



 「前?」と小梅は眉間に皺を寄せて考えた。



 『あぁ、俺のライブに来たじゃないか。』


 「ライブ…あの時!」


 『やっと思いだしたか。』


 「はい。まさか芸能人だったなんて…信じられない。」


 『今までなんだと思った?』


 「自意識過剰の悪代官だと思ってました。」


 『そんなふうに思われていたのか…』



 「はい!」とはっきり答える小梅。