俺は我を失い慟哭し、泣き叫んだ。


「…なんで…彼女が…死ななきゃならなかったんだよぉ…。俺…守れなかった…。なんで…彼女を狙ったんだよ…」


 ここまで愛することができた人なんかいなかったのにあっさり亡くしてしまった。


「わあぁぁっ…。里衣ちゃぁん…!」


「歩夢!落ちつけ!まず…家へ帰るぞ。ご主人様に…」


「林くん!空人くん!」


「ご主人様!」


 俺ははっとした。


 ご主人様の方が悲しいはずなのに。


「林くん。今まで里衣のこと守ってくれてありがとう。里衣は林くんが大好きと何度も言っててな…」


「里衣ちゃんが亡くなったこと知ってたんですか?」


「…聞いたよ。悔しいけど…本当はもっと早く死んでたかもしれない里衣がここまで生きてこられたんだ」


 里衣ちゃん…。


「うっ…うあぁっ!」


 俺はまた声をあげて泣いた。


「林くん。ありがとう」