『なんかあった…?』


意外に優しい声だと思った。

聞くのは初めてって訳じゃないのに

”優しい”声だと思った。



『優斗先輩と…うまくいってない?』



私は



声に出せず



首を横に振っていた。





こんなに好きなのに…

ダメだとしても、やめられない…


他の誰でもダメなんだよ…



私の目からは


どうしようもない気持ちが
涙となってあふれでていた。




木村くんは困ったように
言葉を選びながら話しかけてくれた。




酔ってるせいか、
一向に涙は止まらず


木村くんの優しい言葉が


途切れたことにも気付かなかった。





『俺なら…泣かさないよ…』




『………っ?』




涙が溢れたまま
木村くんの顔をみると
涙のせいでぼんやりとしかわからない

けれどしっかりと
私を見据えてる感じが伝わる




『俺ならそんな辛い思いなんてさせない』




今度はきっぱりとした口調で




『先輩と別れて俺と付き合ってほしい!

好きなんだ』