テレビをつけていて良かった。


当然初対面に近い三人に共通の話題もなく、


会話が途切れ途切れに続き


沈黙の数秒に流れ込むテレビの音は

どこか冷静を保たせてくれていたから。




『あ〜…そーいえば、

今日のホラーなんてタイトルのやつ?』



『あ〜…あれね。』



言おうとして、一瞬ハッとした。
この二人の前で”不倫映画”の話をしていいのか?





『あ〜…うん、』




言葉を濁している僕に

『タイトル忘れた?』

言わないのも変か…?


僕は百合に映画の話をしたら



『あ!私も見たかったの!!

どーだった??』



『あ…?

…うん、まぁまぁ…?』



僕は興味津々に聞く百合に驚きながら



『…お前、どんな話しかしってんのかよ?』



『あの作家の作品の映画化でしょ?不倫のやつ!』



あっけらかんという百合に
僕は唖然としていた…



…オマエ、よくそんなこと…



と、思って幸森さんを見ると



『そーか…見に行きたかったら言ってくれれば』



『幸森さん土日もないくらい忙しいじゃない…

それに!映画は一人で観たいの!』





…………ちょ、


ちょっと待て!



二人とも…



なんで…こんな…



普通に話題にできるの…?!