幸森さんはテレビの横の棚から
ジッポを拾い上げるように手に持ち



『…俺も少しもらっていこうかな…?』



……え?



さっきまで”すぐに帰る”と言ってた
幸森さんは僕に笑顔を向けて
『いいかな?』と言った。



『あ…はい。』



僕は戸惑いながらもそう答えたが

百合は僕以上に戸惑ってるようだった。




『…百合ちゃん?
冷蔵庫、勝手にもらうよ?』





百合は幸森さんの声にハッとして

静かに自分がさっきいた場所に座った。




幸森さんはビールを一本もってくると

百合の隣に座った。



『あ…、コップ持ってくるね』



そう立ち上がろうとした百合の腕を
軽く引っ張り、『今日はいいよ』と言った。




なんだか…




その光景がとても”恋人”っぽくて




僕の知らない百合がそこにいた。