僕は正体のわからない苛々に包まれていた。


それが、いちいち百合のことに
過剰に反応するアキへなのか、

それとも百合へなのか…




苛々は止められることができず
僕の理性を壊すのに十分なほどになっていた。



『アキの部屋に行こう』



思ったよりも自分の声が
低く響いてたことにも気づかずに。



アキはビクリと肩を震わせたけど
やっぱり何も言わなかった。




アキの部屋について、

さっきの話をするつもりだったんだ。



最初は…



何がどうなってこんなことになってしまったんだ…



僕は、自分がこんなにも幼稚な男だったなんて思ってもなかった。



アキを傷つけるつもりじゃなかったのに…




アキと僕は部屋についたけれど、
重い沈黙は続くばかりで…

正直、何をどう切り出せばいいかもわからず困っていた。



友達として百合を心配することが
アキにとっては嫌なことなら…

百合を放っておくことのできない僕にはどうすることもできない。



百合を友達だと言っている僕の声は
彼女の不安な心に届かないんだ…





僕はうつむいてるアキの肩に触れ
のぞき込むようにアキを見た。


悲しいとも怒ってるともみれる
表情だった。


でもその目には今にもこぼれそうな
涙があった。


僕は気づい時には強く抱きしめていた。



そして、アキの身体を少し離して
キスをしようと顔を近づけた瞬間…



『…誤魔化さないで…!』



僕の身体が一瞬にして固まった。


『……もぉ、…やだ………』



気づくとアキの目から
涙はボロボロと流れていた。



『…アキ?』



『もぉ…わかんないよ………』



何が……?


僕の心臓は直接ぎゅっと掴まれたかのようになっていた。


『…アキ、………なに?
…ど…したんだよ?』



僕は少しパニックだった。



『優斗…って呼んで欲しくない…!

あんな目で見て欲しくない…!!

優ちゃんも……ック』