店員が時間を告げると
今日は二次会もなくすんなり解散になった。


僕は素早くアキに近寄り
『帰ろう』と言った。


さっきのことを何もなかったことには
出来ないと思ったから。



僕は伏し目がちにためらうように
僕と距離をとってるアキに

腰の辺りに手を添え引き寄せた。

彼女は抵抗もせずに
でも、相変わらず無言だった。


こんな彼女は初めてで
僕は嫌な予感と緊張からか、

あんなにお酒を飲んでいたのに
口のなかがカラカラだった。


緊張からか心臓がなりやまない。

アキに悟られないようにと思うと、更に緊張した。



『コンビニ寄っていい?』



…ああ、この時、

ここに立ち寄らなければ良かった。




僕はコンビニで水を買った。


店内を歩いてる時も
彼女はうつむき加減に無言だった。



…今、何を考えてる?



僕はレジに向かう途中で
ふと、外に目を向けた。


そこには暗がりに車のライトで明るく照らされる

百合の姿があった。



煙草を吸ってる男性が車に乗り込むと、
百合も車のドアを開け、乗り込もうとした瞬間、

目が合ってしまった。



僕は車と運転席の男に目を移したが、
男は気づいてないようだったから急いで視線を外した。



これから二人ですごすのだろうか…?

陽太も過ごしたあの部屋で…

陽太を想って泣いてたあの部屋で…


これから陽太と過ごしたよりも長い時間を
二人で過ごしていくのか…?




僕は会計を済ませると、
相変わらず黙ったままの彼女に
不安になると同時に、少し苛立っていた。



彼女は何も悪くないのに


…なんて自分勝手な男だ、、、