私は優斗と彼女が出て行くのを見ていた。


優斗の優しい手が彼女の腰に添えられる。


残されたここには
優斗の彼女の残り香が香る。


彼女の香水は彼女の雰囲気にあってる
可愛らしく甘ったるい香り。


むせかえるような甘い香りに包まれて

優斗は何を思うのだろうか…。




ブルブルブル…




携帯が鳴っていた。


ディスプレイを見ると、
幸森さんからだった。


『はい…』

『…どぉ?終わった?』


幸森さんは過保護だ…

今日は飲み会があるといったら
終わる時間に迎えに行くと言ってくれた。



『…はい、今。』

『お店のちょっと先のコンビニに
車停めてるから、おいで?』




電話を切ると、幸森さんがいるコンビニへ向かった。


コンビニに着くと、幸森さんは煙草を吸いながら
車に寄りかかっていた。


私は少し口の端をあげ、笑顔を作って軽く手を振った。


『じゃあ行こうか』


煙草を消して車に乗り込む彼。

私も続いて、車のドアに手をかけて、
何気なくコンビニの方を見たら


優斗がいた。


コンビニの棚から頭がでていて
目が合ってしまった。


きっとあの小さくて可愛い彼女は
その横で棚に隠れているんだろう。


優斗はびっくりした顔を一瞬見せたけど
すぐに私と車とその中にいる人をみくらべ、目を逸らした。



そんな顔、しないでよ…



あの日の私を知ってるあんたのことだから、

なんで陽太以外の人と一緒にいるんだ、

とか思ってるんでしょ…?



人は思い出だけじゃ
寂しくて生きていけないんだよ。




コンビニでお酒を買い私の部屋に帰ると

幸森さんも私の部屋のかっては
手慣れたものになってて

飲むぶん以外を冷蔵庫に入れ、『乾杯♪』と缶を重ね合わせてきた。